星ふる里蔵
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「つくばねの
峰より落つる男女川
恋ぞつもりて淵となりぬる」
じ〜んときます。
これは小倉百人一首で57代天皇の陽成院が詠んだ恋の歌です。
この歌にある「男女川」は「みなのがわ」と読み、
茨城県にある筑波山の女体山と男体山の間にある沢の名前です。
また、この名は、お酒の銘柄でもあります。
個人的な話ですが、最近は本業以外の依頼が増えてきました。
すこし前の週末に、東京から電車とタクシーを乗り継ぎ、
この「男女川」の蔵元である稲葉酒造場に行ってきました。
*お願い / 今日は大作なので、半分は週末に見て下さいまし。
筑波駅からタクシーで20分ほど、筑波山すそ、住宅街の一角を目指します。
なんちゃって蔵でなく、期待感をそそる、立派な出立ち。
この酒造場は江戸末期1867年創業。
代々、筑波山神社の御神酒に使われているそうです。
蔵の入口付近は販売どころになっています。
ここには「男女川」の他に「すてら」という蔵元限定販売のお酒もあります。
当然、帰りがけに、色々と相談して、4本ほど頂きました。
販売どころを抜け、にじり口のような入口をくぐると、、、
食事どころが現れます。(この演出、ニクい。)
今日のおすすめ。
利き酒三種と二千円ほどのコースをお願いします。
左から、乾杯にふさわしい微発泡酒、フルーティーな純米酒、深みのある純米吟醸、
昼間っからお酒を飲めるやなんて、タクシーで来てよかった。
なんて運転はせんのですが(笑)。
本日の三点盛り。
地の野菜はみずみずしく、歯ごたえがあり、大地の味。
酒粕ディップいけます。
メインは魚、鶏、豚料理の中から選べるのですが、私は酒粕漬けの魚料理を。
鶏も豚も頂きましたけど、どれもとてもいいお味です。
この時点で顔は真っ赤っかでした。
〆は店主自らが打った蕎麦、もちろん大盛。
夜にコパンでやってる蕎麦屋さんも美味しいけど、ここも美味い。
空気が澄んでて、水が仕込み水(湧水)というのもあるのでしょうが、
なんと贅沢な時間を過ごしたことか。
小さなレストランでしたが、驚くことに予約客で一杯でした。
皆さん、とても幸せそうな顔をして、話も弾んではりました。
「日本で一番小さい酒蔵」とは、誰かがそういうフレーズをつけただけでしょうが、
レストランの隣りが酒蔵らしいです(すんません、見せてもらうのを忘れました)。
テラスにでると、川魚が泳ぎ、せせらぎが聞こえてきます。
食後にあたりの風景を眺めていて、高浜を思い出しました。
高浜町から近い舞鶴にも農園とレストランが合体した「ふるるファーム」があります。
「ふるるファーム」くらいになると大規模で予算、人員、労力もかかりそうですが、
今回訪れた「星ふる里蔵」は、小さな蔵元が見たところ3人ほどで運営されてました。
江戸時代から続く歴史や日本酒という看板商品もあるのですが、
皆さん、誇りを胸に丁寧な姿勢が光り、イキイキと働いてはりました。
高浜には地魚、地野菜、米、、と名物になりそうなものがいっぱいあります。
旧丹後街道沿いには空き町家もありますから、いい形で改修をしていけば、
蔵元はなくとも、町家ですばらしい高浜を提供することができると思います。
隠れ、埋もれてしまっている町の資産に目を向けたい。
あとは運営してくださるグループの存在とやる気だけです。
近い将来、ぜひ皆さんで力を合わせて、高浜でしかできないものをやりたい。
今回は、ふと町家利用のヒントにでもなればと思い参加したのですが、
酒も料理も人もよく、やる気も湧いてきました、来てよかった。
青葉山、やなくて筑波山、ありがとう! また来ます!
道田 淳